その経理、「自由診療の消費税」まで見えていますか?―クリニックの先生のための税金の勘どころ
- 尚生 町田
- 1 日前
- 読了時間: 4分
「税理士には頼んでいるけれど、医療の税金にどこまで詳しいかは正直わからない」。
開業医の先生から、こうした声をよくお聞きします。
実は、クリニックの税金は一般の会社や個人事業とは大きく異なる分野です。医療ならではのルールを知っているかどうかで、手取りも、将来の安心も変わってきます。この記事では、先生に最低限知っておいていただきたい4つのポイントを、専門用語をできるだけ使わずに整理しました。
※この記事の税金の取り扱いは2026年6月時点のものです。制度は改正されますし、適用できるかは個別の状況によります。実際の判断は、必ず税理士にご確認ください。
■ ポイント①:社会保険診療の「概算経費」、使えていますか?
個人開業医の先生には、社会保険診療報酬についての特別な経費計算のルール(いわゆる「概算経費の特例」)があります。
ざっくり言うと、実際にかかった経費の代わりに、決められた割合で経費を計算してよいという制度です。実際の経費とこの概算と、有利なほうを選べるのがポイントです。
・利益率が高め(実際の経費が少なめ)のクリニックほど、概算のほうが有利になりやすい傾向があります。
・ただし、使えるかどうかには収入金額などの要件があり、自由診療の部分は対象外です。
「うちは実額と概算、どちらが得か毎年比べてもらっているか?」——もし意識したことがなければ、一度確認する価値があります。使えるのに使っていない、は避けたいところです。
■ ポイント②:自由診療と消費税 ― 比率が上がったら要注意
消費税には、医療ならではの落とし穴があります。
・保険診療(社会保険診療)は、消費税が非課税です。
・一方で、自由診療(美容・自費診療・予防接種・診断書・物販など)は、消費税の課税対象になります。
そのため、美容皮膚科・形成外科など自由診療の比率が大きいクリニックは、消費税の扱いが一気に重要になります。「これまで気にしていなかったけれど、自費の割合が増えてきた」という場合は要注意です。
さらに、消費税には納め方の選択(原則か簡易か など)や、仕入れにかかった消費税の計算方法で、有利・不利が分かれる場面があります。届出の期限を逃すと選べなくなることもあるため、早めの確認が大切です。
※なお、自由診療にあたるものでも、助産(保険外の分娩など)や労災・自賠責の療養のように非課税となるものがあります(個別は要確認)。
■ ポイント③:事業税の「非課税」も、医療ならでは
あまり知られていませんが、社会保険診療にかかる所得は、事業税が非課税です(個人・医療法人とも)。
ただし、自由診療の部分は事業税の課税対象になります。つまり、保険診療と自由診療をきちんと分けて計算しないと、正しい税額になりません。ここも、医療に慣れた事務所かどうかで処理の精度が変わるところです。
■ ポイント④:医療機器の投資は「買う前」に相談を
CTやレーザー、ユニットなど、医療機器は高額です。こうした設備投資は、
・購入とリース、どちらが資金繰り・税金の面で有利か
・特別な償却や税額の優遇が使える設備かどうか(対象や期限に要件あり)
によって、結果が変わります。買ってから相談されると、選べたはずの選択肢が手遅れになることも。「導入を検討している」という段階で一度ご相談いただくのが、いちばん効果的です。
■(医療法人の先生へ)「出資持分」という見えない宿題
持分のある医療法人(経過措置型)の場合、利益が積み上がるほど「出資持分」の評価額が大きくなるという特有の論点があります。これは、相続や退社のときの負担に直結します。
「持分の評価額を一度も計算したことがない」という法人は少なくありません。承継や相続を考え始める前に、まず現状を把握しておくことを強くおすすめします。
■ まとめ:税理士は「医療に強いか」で選んでよい
クリニックの税金は、医療ならではの論点のかたまりです。
・概算経費を使えているか
・自由診療の消費税を正しく扱えているか
・事業税を保険/自由で分けられているか
・設備投資を「買う前」に相談できているか
・(医療法人なら)出資持分の宿題に気づいているか
これらに「うちは大丈夫だろうか?」と少しでも引っかかったら、それは税理士を見直すサインかもしれません。
■ 当事務所にできること
当事務所は、医療ならではの論点を踏まえた記帳・申告に加えて、毎月数字を一緒に見る経営の振り返りや、設備投資・法人化・承継などの事前のご相談まで、段階的にご一緒できます。作業は仕組みで正確に・速く進め、先生が診療に集中できる経理体制づくりをお手伝いします。
「うちのクリニックの場合はどうなる?」——その答え合わせから始めましょう。
初回相談は30分無料です。お問い合わせフォームまたはLINE(https://lin.ee/zkv6DDH)からどうぞ。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、特定の税務上の取り扱いや節税効果を保証するものではありません。記載は2026年6月時点の制度にもとづきます。実際の適用は個別の状況・最新の制度により異なりますので、必ず税理士にご相談ください。

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